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メタロ-β-ラクタマーゼSMB-1の構造解析に関する研究がAntimicrob. Agents Chemother.にアクセプトされました。

 

SabathとFinlandの研究(University of Oxford)
J. Bacteriol., 95(5), 1513-1519, 1968
引用数:1 (2012.08.25)

結果

Bacillus cereus569の破砕液上清からcephalosporinase をG25またはG75で分離した。
・Iodo acetic acid、N-ethyl-maleimide、p-chloromercuri-benzoateは、酵素にZn(II)イオンを加える前に添加すると活性は低下したが、Zn(II)イオンを加えた後だと活性は維持された。
・CdCl2の添加は、酵素の活性を抑制したが、HgCl2とNiSO4では活性が維持された。

まとめ
B. cereus569のcephalosporinaseは、活性中心にチオール残基を持っている。

KuwabaraとAbrahamの研究(University of Oxford)
Biochem. J., 103, 27c-30c, 1967
引用数:none (2012.08.25)

結果
Bacillus cereus569/Hの破砕液上清からcephalosporinase をG25で分離して、この酵素をβ-lactamase IIとした。
・この酵素は、Zn(II)イオンの添加で活性が80%回復した。
・penicillin系でだけでなく、cepharosporin系のβ-lactam剤を加水分解した。

まとめ
・β-lactamase IIは、様々なβ-lactam剤を加水分解することができるZn(II)イオン要求型酵素である。

SabathとAbrahamの研究(University of Oxford)
Biochem. J., 98, 11c-13c, 1966
引用数:40 (2012.08.22)

結果
Bacillus cereus569の破砕液上清のcephalosporinase 活性は、EDTA処理、透析、Znイオン添加の処理後に測定されたが、EDTA処理では活性の低下、Znイオン添加では活性の上昇がみられた。これらの実験において、penicillinase活性には変化はなかった。

まとめ
・cephalosporinase活性はZn(II)イオンを要求する。しかし活性中心に必要なのか、活性型になるための構造変化に必要なのか、今回の実験ではわからない。

平成24年度の4年生配属

4月3日に工学部物質生命化学科の4年生、稲津 誠くんと朴 世薫くんが山口研究室に配属されました。

SabathとAbrahamの研究(University of Oxford)
Antimicrob. Agents Chemother., 5, 392-397, 1965
引用数:6 (2012.02.28)

結果
Bacillus cereus569の破砕液上清のcephalosporinase 活性は、1 mMのZnSO4の添加で4~5倍の活性上昇が観察できたが、penicillinase活性の上昇は観察できなかった。

まとめ
B. cereus569の破砕液上清には、cephalosporinase活性とpenicillinase活性の2つの機能を持つ酵素、またはそれぞれの機能をもつ酵素2種類が存在する。
・cephalosporinase活性はZn(II)イオンを要求する。

論文がActa Crystallogr. Fにアクセプトされました

メタロ-β-ラクタマーゼSMB-1の構造解析に関する研究がActa Crystallogr. Fにアクセプトされました。

内容は、Serratia marcescens(セラチア菌)の染色体にコードされたメタロ-β-ラクタマーゼSMB-1を大腸菌で発現させ、精製・結晶化を行い、つくば市にある放射光施設Photon Factory(PF)で構造解析ができるX線回折データを得られたものです。

SMB-1は、普通のS. marcescensには存在しておらず、臨床株から外来性遺伝子の挿入という形で染色体上から発見されました。SMB-1はメタロ-β-ラクタマーゼではサブクラスB3に属するのですが、サブクラスB3は基本的には染色体上にその遺伝子が存在しているため、どのようなメカニズムでSMB-1遺伝子が染色体に移ったのか、興味深い酵素です。

今後、構造解析を進めて、SMB-1の結晶構造を明らかにして、メタロ-β-ラクタマーゼの阻害剤開発研究に活かすことになります。

論文がChemBioChemにアクセプトされました

メタロ-β-ラクタマーゼIMP-1のアポ酵素調製法の研究がChemBioChemにアクセプトされました。

内容は、IMP-1の活性中心からキレート剤を使ってZn(II)イオンを取り除く過程で、活性が低下する現象を速度論的に解析した実験です。この実験から、Zn(II)イオンが脱離する反応は、速い過程と遅い過程があることがわかりました。

また実際にIMP-1からZn(II)イオンを取り除いたアポ酵素を調製し、Zn(II)イオンを添加すると活性が100%回復することを証明し、アポ酵素にCo(II)イオンを加えて分光学的にIMP-1の活性中心の配位環境を調べました。

さらにアポ酵素にZn(II)イオンを1当量加えmono-Zn IMP-1を調製し、熱分析によってアポ酵素、mono-Zn IMP-1、IMP-1の構造安定性を評価しました。その結果、mono-Zn IMP-1とIMP-1の構造安定性が同程度であることがわかりました。

以上の結果から、IMP-1は1つのZn(II)イオンを活性中心に取り込むことで構造が安定化し、ある程度の活性が生まれること、2つ目のZn(II)イオンは、活性の効率化に必要であることがわかりました。

論文がMedChemCommにアクセプトされました

メタロ-β-ラクタマーゼIMP-1の分光学的研究の成果がMedChemCommにアクセプトされました。

内容は、IMP-1の活性中心からZn(II)イオンを取り除き、Co(II)イオンやZn(II)イオンを添加しながらUV-Vis領域のスペクトル変化を観察した実験です。さらにCo(II)イオンで置換されたIMP-1に対してメルカプトプロピオン酸を添加したときのUV-Vis領域のスペクトル変化も観察しています。

この実験から、IMP-1にある2つのZn(II)イオン結合サイトの親和性の違いやZn(II)イオンとCo(II)イオンの親和性の違いなどがわかりました。またメルカプトプロピオン酸のチオール基が、Co(II)イオンに置換されたIMP-1のCo(II)イオンに配位結合することが溶液レベルの実験でわかりました。

平成23年度の4年生配属

4月13日に工学部物質生命化学科の4年生、松尾朋美さんと安田健二くんが山口研究室に配属されました。

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